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屋根や瓦のコラム

このコーナーでは、屋根にまつわる日本人の暮らしや風習などについてお話したいと思います。
(随時更新していきますのでお楽しみください。)

■瓦葺の心と日本人  ■景色にとけこんだ屋根瓦  ■名前のはなし  ■つばくろ

■ 瓦葺の心と日本人

このコーナーでは屋根と日本人の暮らしや風習などについてお話したいと思います。
まず、瓦の屋根は約1200年前に中国から朝鮮半島をへて日本へ入ってきたもので、各地の遺跡から出土するのは奈良時代から江戸にかけてのものです。
日本に入ってきてからは日本の気候(高温多湿)にそって改良され、世界最大の木造建築である東大寺大仏殿で完成されたと言っても良いでしょう。
さて、お寺やお城では大きな鬼瓦が目につきます。名古屋の金のしゃちほこもその類です。その時代、時代の最高の鬼瓦師が精を込めて作り上げたもので、その頃の主や社寺が勢力を競いあって豪華絢爛に仕上げられました。 今日21世紀になりましてもその伝統は日本人の心に美しく映ります。一般住宅においても多種多様な鬼瓦が見られます。
その中で鐘馗さんという鬼瓦をご存知でしょうか?
高さ約20cm横幅5cmほどの小さい鬼瓦の一種です。
家の家相に基づいて鬼門や近所にお寺がある場合、邪気が入ってこないように睨みをきかせて守っているのです。今は数少なくなりましたが、古い町屋などでヒサシの上をさがしてみて下さい。ちっちゃな「鐘馗さん」が肩をいからして家を守っている姿がきっとみつかります。

 
■ 景色にとけこんだ屋根瓦
私はよくオートバイや列車で旅をしますが、やはり職業柄、屋根や瓦に目がいきます。
特に鈍行列車で足を投げ出して、車窓から流れ行く景色の中でキラキラ輝く甍の波を見ているのが幸せです。
山陰の海沿いの穏やかな漁村で黒くどっしりとした石州瓦、北陸の豪雪地帯で何段も入っている雪止め瓦、信州安曇野に天にもそびえる山並みにへばりつく様に建っている家々、みちのく山形の若葉に映える山寺の山門など・・・日本の景色にとけこんだ美しく、なくてはならない風景です。
このように、日本各地にはそれぞれ気候にあった瓦が発展してきました。海に近い所では塩害、高地では冷害、豪雪地では軽量瓦など…。
まだまだ瓦はこれからも発展していくものと思われます。
 
■ 名前のはなし

私が大好きな駅名を一つ挙げるとすると「音威子府」です。「おといねっぷ」と読みます。北海道の旭川市から北へ300km、宗谷本線にある小さな駅です。一日に5本ほどしか列車も止まらず、周りには何も無く、分岐してきた天北線も昭和の終わりには廃止されてしまいました。でも、「おといねっぷ」はアイヌ語で「川の流れが集まる所」という意味で、なにか旅情をかきたてる名前です。

瓦の名前にも色々ありますが、「鳥」の名前のついた瓦が多くあります。例えば、軒先のコーナー部分につける瓦は「トンビ」、丸い紐丸瓦の先につける飾りの瓦では「千鳥瓦」というのがあります。
また、葺き上がった瓦を下から見た斜めのラインを、「雁足」と職人の間では呼んでいます。空を飛ぶ雁の群が規則正しいラインを組んで飛んでいく様に、斜めのラインが揃っている美しい瓦の葺き上がりのことをたとえています。
空に近い屋根や瓦だけあって、大空を舞う鳥から取った名前が付けられ、これからも伝えられていくものだと思います。

 
■ つばくろ

4月下旬から初夏の日本列島に南の国から北を目指してやって来る・・・。
90歳の私の祖母は毎年やって来る「つばめ」達のことを心待ちにしています。
「つばめ」が巣作りした家々は幸せになると言い伝えられ、昔から益鳥として可愛がられていました。 「すずめ」と違って田畑の害虫を食べ、そのスマートな身のこなしからも良い印象をもたれています。 「燕尾服」「燕返し」それと「ヤクルトスワローズ」なんてものもあり「つばめ」はかっこいいイメージで親しまれています。

「つばめ」の「巣」は、なぜ何年もヒビが入らず家々の軒先から落ちないのでしょうか?
答えは「土」と「ワラ」と「水」をうまく使っているからです。
まず、粘り気のある唾液で土をやわらかい団子状にして並べていきます。その時に「ワラ」を中に入れて連結させていきます。そのためヒビが入らず長い間地上に落ちてこないのです。
良い土選びと、人間の暮らす軒先に「巣」を作るという「つばめ」自身が受け継いでいる知恵が、外敵の蛇や烏に襲われない巣作りを完成させました。

この「土」と「水」と「ワラ」というのは私達日本の住宅の壁や屋根に古くから使われています。土壁は、湿気を夏は吸収、冬は放出し空気を循環させて室内を快適に保ちます。そのうえ住宅の強度と地震の揺れに対する「粘り」が優れています。
「つばめ」が先か「人間」が先かはわかりませんが、土と水とワラをうまく使って共存してきた日本の暮らしをこれからも続けていかなければなりません。

この春開業した九州新幹線(鹿児島中央〜新八代)の900系は「つばめ」と名付けられました。
「つばめ」は南の街からあなたの街を目指して走り出しました。

 

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